「あたし彼女」が熱いらしいので

http://nkst.jp/vote2/novel.php?page=1&auther=20080001

「あたし彼女」現代語訳 - 藤棚の上
最近ケータイ小説が熱いらしいので、俺も便乗してみることにしました。という事で一章だけ現代語訳してみたぜ!*1

第1章

アタシはアキ。歳、23。もうすぐ24になっちゃう。え、彼氏?そうね、まぁ、いるよ?当たり前じゃん(笑)普通に考えてさ、このアタシにそーいう彼氏とかいない方がおかしいって。そんなのいて当たり前。私にとっては空気を吸うよりも自然。というより、こういえばいいのかな?アタシが付き合ってあげてる、みたいな。これ聞いてムカついてるかもしれないけど、それが普通なんだもん、しょうがないよね(笑)

もう付き合ってあげて、えっと、たしか5ヶ月かな。彼氏の名前?トモだよ。歳?えっと、31歳。・・・たしか。自信はないけど。顔は、うーん、そうだね、普通だと思う。それといって特徴の無い顔。まあ悪くないと思うよ。そうね、敢えて何か特徴があるなら、目かな。人よりデカイかな?トモの性格?まぁ普通だね。ねえ、だって考えてみてよ。仮にもアタシだよ、アタシの彼氏なわけじゃん?アタシだって誰だってイイワケないじゃん。なのに変なわけって、ありえないし、みたいな。

彼女はそう自嘲気味に彼の事を語り始めた。突き抜けそうな空虚な目で、アタシ、こんなんですけど、と。

アタシ、もちろん前にも彼氏はいたんだけど、何て言うの?飽きちゃったんだよね、端的に言うと。つまんないのよ。んで、まあいつものように乗り換えちゃった。だってつまんないものいつまでも持ってたって仕方ないでしょ?子供だって玩具は飽きたら捨てちゃうでしょ?そんなもんだって。トモに出会って、乗り換える事には躊躇なかったよ?だって、少なくとも前彼より顔はいいし、金は持ってたしね。なにより、セックスは前より、相性いいし。こいつの方が、私にとって相応しいっていうの?まぁ、アタシにしたら、当たり前の男、みたいな?

そう語る彼女は誰よりも自信を持ってそうに、見えた。すくなくとも外面上は。

てか、アタシ、彼氏いたことって、あんま、つうかほとんどないしね。ネイルの手入れしたり、つけまつげしたり、ケータイをデコレートするくらいには、ほんと、当たり前みたいな?初めて男ができたのは、確か中学のころだったかな?その頃から今まで、男尽きたこと、ないし。ほっといても向こうから蜂蜜に群がるアリみたいに寄ってくるんだよね。別に、アタシから誘ってる訳じゃないし。てかなんでそんな事する必要があるの、って逆に疑問だよね。男ってさ、アタシみたいに顔が良くて、スタイルが良かったら、ほんとお前ら磁石かよって思うくらいくっついてくるんだよね。なんだか忠犬みたいに尻尾振ってさ、毎日毎日アタシにご機嫌取り。ほんと笑えるでしょ?

まぁ、気持ちもわかるけど、そう呟きながら、男をまるでモルモットのように語るアキは、のっぺりとした笑顔を浮かべていた。

今の彼氏だってね、アタシが、ちょっと悩ましげな顔して、前の彼氏、なんか冷たくてとか言っただけでさ、もうコロッと落ちちゃったのよ。凄いハイテンションで、俺ならそんな思いさせない、だって。ほんと爆笑だよ。みんな図ったように同じ事言うんだよ?もしかして、学校の授業のカリキュラムとかに組まれてるのかな?男子だけの、例えば保険体育とかの時間に、正しい交際の仕方とかがあって、先公がクソ真面目にこういう風に言いましょう、みたいな?

アキはさも面白そうにそう語ると、一転侮蔑するような表情で突き放すように、バカみたいと言った。

だからさ、アタシがあくまでもイニシアチブを取る、みたいな?そんなワケだから、今までフラレたこと?そんなのあるわけないしって感じだよね。そんなのバカみてーだし。このアタシが。でさ、トモは、欲しいものがあったら何でも、文句言わずにATMになってくれるし、食べたいものがあったら、ちゃんとアタシに食べさせてくれるし。アタシがしたい時にはアタシに入れてくれるし。ほんと、すっごい楽。アタシは何もする必要がないんだよね。ちょっと可愛い顔して甘えてやるだけで、これだもん。まあ、男が必死になるのも分かるよ?だってアタシみたいないい女、ほっといたら、他の男にもってかれるし?実際逃げちゃうし、乗り換える気、マンマンだしね。おい、頑張れよ、頑張らないと、逃げちゃうよ、みたいな。どれを選ぶかなんて、どれ選んでも同じなんだから、少しでもアタシにイイ思いさせてくれる男に靡くのが当たり前だし。アタシにはこれが普通だと信じて疑わなかったね。

そういうアキの目は、どこか友達に自慢するような、上ずった口調だったが、その表情は、通勤帰りのサラリーマンのように、どこか諦めたような、疲れたような表情だった。

仕事はどうしてるかって?あぁ、トモと付き合い初めてから、辞めた。てかダルイ。働く意味なんてないよね。ほら、アタシが稼がなくても、トモが稼いできてくれるわけじゃん、馬車馬のようにさ。別に私は、バリバリのキャリアウーマンになって上を目指すとか、そんなつもりは毛頭ないし。てか論外じゃん?やりたい奴は勝手にやってろって鼻で笑いたくならない?何でそんなことしなきゃならないのって逆に言いたいよね。そんなのダルイだけじゃん。好き好んで誰がやるかっつーの。アタシみたいな女なら、むしろアタシの為に男が頑張ってくださ〜いって稼がせるのが普通、みたいな。頑張ったらご褒美あげるからさ、って感じだよね。

自由人のような口ぶり。私はこんなに幸せなんだと必死に主張しているみたいに。裏腹にその言葉にはどうしようもなく薄っぺらさが付きまとうけれど。アキは続ける。

友達?まぁ、普通にいるよ?何だかそれがブームみたいに、最近やたらと結婚してくけど、マジで早いっつーの。いくらなんでも早すぎるって思わない?だって 23だよ?お前ら生き急ぎすぎだろって言いたくなる。そんな歳で人生決めちゃってどーすんだっていう。人生まだ長いのに、そこで一人の男に決めたら、絶対に飽きちゃうじゃん。お前ら10代の頃忘れたのかよって。あの頃はさ、バカみたいに死ぬまでセックスしまくり〜とか、男100人切り競争とかして争ってたのにさ。20歳越えると、なんだかアタシの周りのみんな、まるで憑き物が落ちたみたいにつまらなくなって、真面目腐って。そこらへんのフツーの女みたいに、メスの表情浮かべてダーリン一途〜とか言っちゃってさ。そんな普通に無理だし。

アキは苛立ちを隠そうともしなかった。でもその背中は、まるで隠れん坊でいつまでも隠れているうちに、他の皆が帰ってしまって、夜になってしまった時のような寂しさを抱えていた。

一途とか、普通に考えてある訳ないじゃん、みたいな。そんなの嘘じゃん。一人の人を一生、愛しつづけるなんてさ。アタシには絶対無理だっつ〜の。小さい頃見ていたテレビとかドラマとかでは、当たり前みたいに愛は永遠とかやってたけどさ、世の中ちょっと見てみなって。浮気、不倫、世間の常識。全部嘘じゃん。何御伽噺信じてるのって言いたくなっちゃう。浮気したこと無い奴とか言う奴いるけどさ、普通に嘘だろバ〜カって思っちゃうし。今一途でもさ、どこかで別に気になる奴ができた時点で、はいそれ嘘決定、みたいな。どう考えても嘘なんだから、だったら最初からそんな事言うなよって話になるじゃん。

悟り切ったかのような表情を浮かべるアキ。怒っているようで悲しげな表情を浮かべて続ける。

でも、気付けばトモとは比較的もってる方かも。いつもアタシって大体2、3ヶ月持てばいい方なんだよね。でも、一人いたな、一年続いた男。そいつ、笑えるほど超鈍感なの。浮気しまくりなのに、どうして気付かないんだろっ、ほんとに目付いてるのかなって位マジで気付かないんだよね。ソイツと付き合っている間に、百人切りパーティー開いたし。その開催資金も、ソイツからパクった金で開いたんだけど、超楽しかったわ〜。キチガイかって言うほど楽しんだ。あの頃に戻りたい、なんて言ってみるけど、あの頃から何もアタシは変わってない。変わる気もないし。このカーニバルを死ぬまで楽しんでやるってマジに思ってるの、悪い?

悪びれている風は微塵もない。まるで茫漠と横たわる砂漠のような未来を、退廃的なサーカスで埋め尽くしてやるという風な挑発的かつ野心的な目で。

子供は、二回できたかな。まあ、いわゆる失敗って奴だよね。はっきりいって、勝手にできんなってつ〜の。セックスは気持ちよくなりたいから、アタシゴムは嫌いなんだよね。チンコも生が一番に決まってるじゃん。ビールと同じでさ。できちゃってもまあ、金持ってる奴にせびれば全く問題無いから。何だかトンでもない事が起きちゃった、みたいな表情を被って、涙目になりながら、できちゃったの、なんて言うだけで、まるで本当に大惨事になったかのように慌てふためいて金かき集めてくれるからね。しかもそんなにいらないのに慰謝料込みで、数十万のボーナス、みたいな。まあアタシも貧乏、孕ませた奴も貧乏だからオールオッケー、みたいな。ボロいよね。マジで罪悪感とか、塵のかけらほども感じないわけ。アタシにとっては単に必要でないものでしかなかった。むしろできた子供が悪いみたいな。生理とかもだるいし、なんでこんな風なんだろとしか思わなかった。台風とか一緒。迷惑で邪魔で以外の何者でもない。堕ろした後は出血も多いし、腹もアソコも痛いんだけど、これさえ乗りきれれば、またあの祭りみたいな日々が戻ってくる。アタシの時代、帰ってきたぜ、みたいな。

まぁ、過去の事なんてトモは何にも知らないんだよね。言う必要なんて、あるとも思わないし。そんなの言う必要なんてあるとは全然思えないし。お互いに干渉しようって気はないし、言う必要は別にないしね。もしかして、トモもアタシの事そんなに何とも思ってないんじゃないかな?それならそれでもいいんじゃないって思うし。あえてそこでなんとかしよう、なんて思わないし。どうせ別れるし、無駄だし。

ちなみにアタシは実家住まいなんだけどさ、おとんとおかんも色々口煩かったりするんだよね。いい加減子離れしろよって思っちゃう。なら一人暮らししろって思うかもしれないどさ、確かに気楽かもよ?でもアタシがワザワザ家事全般するとか、無いよね。昔は女が炊事洗濯当たり前って言ってたけど、正直言って古いんだよね。そんなのできるわけ無いじゃんって。出来ないもんは出来ない、みたいな。じゃあトモと同棲って話になるかもしれないけど、トモと一緒に住んだとしても、それじゃ遊べないじゃん。浮気も堂々と出来なくなるし、友達とカラオケとか、合コンとか、デートとかに忙しガールのアタシとしては、そんなの受け入れられないわけ。

ちょっと喋り疲れた風に一旦間をおいて、アキはこう纏めた。

大体アタシの性格わかった?まぁこんな感じなんだけどさ、けっこう今時の女って感じじゃない?見た感じ頭空っぽに見られるんだけどさ、実際空っぽですし、それが何か、みたいな。考える必要ないって思うんだよね。先の事なんて誰も分からないのに、今を糞が付くぐらい真面目に生きてて、明日死んだら、意味無しじゃん?だから、敢えて何も考え無いようにして、ひたすら今を楽しむことにしたの。

そうしてアキは独白を終えようとした。最後に、思いだしたように、別に誰にも迷惑かけてないし、みたいな、と誰かに言い訳するかのように付け加えて。

続きは

悪ノリなので続かない。まあ2章から俄然面白くなるので、原作読みましょうよ。Autopagerizeがあれば、恐らく一時間で読み終えられるぜ。
第二章から
最初から

*1:実際そんなに叩くほど悪くは無いと思うんですけどね